IMAT設立の背景と目的
近年、世界規模でCO₂の排出量削減やカーボンリサイクル技術の開発が求められている中、光合成によりCO₂を吸収して成長する微細藻類は、持続可能なバイオマス資源として産業利用が期待されています。一方で、微細藻類の産業利用における課題として、製品を作るために必要な各種工程の手法や条件、データの算出・表記方法など、基準が定まっていないことが挙げられます。
これにより、実験データや技術の適切な比較や評価が困難となり、優秀な研究者や技術者による成果が有効に活用されることなく散在している状況となっています。また、微細藻類の産業利用を見据えた汎用的な実験施設や産・官・学の交流機会の不足も課題として挙げられます。今後、微細藻類の産業利用を効率的に推進するには、これらの課題を解決すること、即ち研究基盤を構築することが重要です。
IMATは、微細藻類の研究基盤構築に取り組み、微細藻類の産業利用と関連技術の発展を推進する目的で設立されました。
- 微細藻類研究拠点の整備
- 試験方法や評価基準の標準化と普及
- 研究者や事業者への交流機会提供による事業創出支援
上記の活動により微細藻類の研究基盤の構築を図ります。国内の事業者及び研究者の技術的知見や意見を集約して効率的に研究基盤の構築を進めることで、循環型社会の実現に資する新たな産業の創出に貢献します。
組織概要
- 名称
- 一般社団法人日本微細藻類技術協会
- 英語表記
- Institute of Microalgal Technology, Japan
- 所在地
- 〒725-0301
広島県豊田郡大崎上島町中野6208番地1 IMAT基盤技術研究所
- 設立日
- 2020年5月14日
- 連絡先
- TEL:0846-64-4108 E-mail:info-al@imat.or.jp
- 会員数
- 14団体
沿革
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2020年5月
一般社団法人日本微細藻類技術協会 設立
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2020年7月
理事会設置型法人に移行
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2020年10月
(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構「微細藻類研究拠点における基盤技術開発」に採択
代表理事からのメッセージ
持続可能なジェット燃料の原料として微細藻類が注目されています。微細藻類は陸上バイオマスに比べて単位面積あたりの生産性が高く、そのCO₂固定能力により火力発電所などから排出されるCO₂を再利用できるからです。
微細藻類はこれまで健康食品の原料などに利用されてきましたが、燃料利用としてはまだ事業化されておりません。燃料とするには、安定生産ができること、化石燃料とコスト競争ができること、化石燃料と比較してライフサイクルでのCO₂排出量が少ないこと、などが必要条件となります。
個別の研究機関や事業者の努力でこれらの課題を克服することは容易ではなさそうです。また、日本が目指す2050年カーボンニュートラルの実現には、燃料のみではなく、あらゆる産業においてCO₂排出削減が求められます。微細藻類の産業利用においてこれに応えるには、高度な研究開発に加えて、得られた成果の集積と体系化、および成果を適正に評価・検討するための基準が必要です。
微細藻類においては、これまでそのような評価基準が無いことが、新規事業者の参入や技術発展の障壁となっていました。これらの課題解決のため、IMATは国内の研究者・事業者の知識や技術、意見を集約し、高度な研究開発に対応した微細藻類研究拠点の整備と試験方法や評価基準等の標準化を行います。
役員の紹介
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代表理事Imou Kenji
芋生 憲司
東京大学 名誉教授
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理事Uehara Yoshikazu
上原 与志一
三井化学株式会社
研究開発本部 未来技術創生センター長 -
理事Fukuda Akira
福田 明
ENEOSホールディングス株式会社
未来事業推進部 事業推進1グループマネージャー -
監査Nakagawa Satoshi
中川 智
バイオインダストリー協会
事業連携推進部長